デジタル化やDX推進が急速に求められる現代において、従業員のITリテラシーの底上げは企業にとって喫緊の課題です。そんな中、注目を集めているのが「ITパスポート試験」。経済産業省が推進する国家試験で、ITの基礎知識を証明できるこの資格は、職種や部署を問わず全社員に必要な知識を身につける絶好の手段です。
この記事では、企業内でITパスポート受験を推進したい担当者さまのために、導入のメリットや効果的な広め方、具体的なステップを徹底解説します!
目次
ITパスポートの学習方法と企業・自治体によるサポート例
ITパスポート以降のスキル育成ロードマップ
ITパスポートとは?企業での導入価値を再確認
📋 ITパスポート試験の概要
項 目 | 内 容 |
---|---|
資格名 | ITパスポート試験(略称:iパス) |
試験区分 | 国家試験(情報処理技術者試験の1区分) |
実施機関 | 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA) |
認定省庁 | 経済産業省 |
試験方式 | CBT方式(コンピューター上での受験) |
試験日程 | 通年実施(全国のテストセンターで予約制) |
試験時間 | 120分 |
問題数 | 100問(四肢択一式) |
合格基準 | 総合評価点:600点以上(1000点満点中)+3分野すべてで300点以上必要 |
合格率 | 約50% |
試験料(税込) | 7,500円(2025年5月時点) |
合格証書 | 経済産業大臣より合格証書が交付 |
対象レベル | 社会人全般・学生・IT未経験者向け |
有効期限 | なし(合格後は永久有効) |
※また、デジタルリテラシー協議会として、2021年4月以降のITパスポート試験に合格された方を対象に、同協議会で「DX推進パスポート」デジタルバッジを発行
国家資格としての信頼性
ITパスポート(iパス)は、経済産業省所管の情報処理技術者試験の一つで、ITリテラシーの基礎を問う国家資格です。合格すれば、ビジネスパーソンに必要なIT知識やマネジメント・ストラテジ・テクノロジの3分野の理解力が証明されます。
部署を問わず必要なIT知識
「ITは情報システム部門だけのもの」と思われがちですが、現在は営業や人事、経理など全ての部署においてデジタル知識が不可欠です。ITパスポートは、専門的すぎず、誰でも取り組める内容であるため、全社員への教育に最適です。
社内リスキリングの第一歩に
ITパスポートの学習は、DX推進に向けた「リスキリング(学び直し)」の出発点としても非常に効果的です。知識ゼロの社員でも挑戦でき、基礎から学べることで、IT人材のすそ野を広げることができます。
ITパスポートを社内で推進するメリット
メリット1:従業員のITリテラシー向上
社員のITリテラシーが向上することで、業務効率の改善、新ツールのスムーズな導入、セキュリティ意識の向上など多くの効果が期待できます。
メリット2:DX推進の土台づくり
DX人材の不足が叫ばれる中、外部採用だけに頼らず、既存社員のスキルアップによって内製化を図ることが重要です。ITパスポートの取得は、その基礎的な土台になります。
メリット3:人事評価やキャリアパス設計への活用
ITパスポート取得を人事評価項目に組み込むことで、社員の学習意欲を高め、企業文化としてのスキルアップを促進することが可能です。
このようなメリットにより、企業の応募者数は増加傾向にあります。
下記は、「直近3年間の勤務先別応募者数の推移」を表したものになります。
出典:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
企業内でITパスポートを普及させる具体的なステップ
ステップ1:経営層の理解と巻き込み
まず重要なのは、経営陣に「なぜITパスポートなのか」を理解してもらうことです。全社的な教育施策として取り組むには、トップダウンの支援が不可欠です。
ステップ2:社内告知と意義の共有
社員に「ITパスポートを取得することの意義」をしっかり伝えることが、普及の鍵となります。「全社員が取得する理由」「業務にどう活かせるか」を具体的に伝えましょう。
ステップ3:学習支援体制の整備
・eラーニングの導入
・模擬試験の提供
・合格者へのインセンティブ(報奨金や表彰制度)
など、社員が取り組みやすい環境を用意することが大切です。
ステップ4:社内のロールモデルを育成
早期に受験・合格した社員をロールモデルとして紹介し、他の社員のモチベーションを高めましょう。合格体験談を社内報に掲載するなどの工夫も有効です。
ステップ5:継続的な運用と効果測定
導入して終わりではなく、取得率や活用度を継続的にチェックし、必要に応じて施策をアップデートしましょう。部門ごとの目標設定や進捗管理も効果的です。
ITパスポートの学習方法と企業・自治体によるサポート例
学習方法は多様で手軽
ITパスポートの学習には、書籍やアプリ、Web講座、通信教育など、幅広い選択肢があります。初心者でも1〜2ヶ月の学習期間で合格が狙えます。
おすすめの学習方法
・書籍:「いちばんやさしいITパスポート」など初心者向け教材が豊富・YouTube:無料の解説動画も多数
・スマホアプリ:スキマ時間にクイズ形式で学べる
・eラーニング:社内で一括導入も可能
企業・自治体によるITパスポート支援施策の具体例
- 株式会社朝日新聞社
対象者:全社員および内定者
支援内容:会社負担でバウチャーを購入し、受験者に配布
自己啓発に対する補助制度の活用
入社前に参考テキストを配布し、資格取得を推奨
目的:全社的なデジタル化推進と、部門間の連携強化
- 芦穂崎工業株式会社
対象者:全社員
支援内容:資格取得に向けた講習受講料および受験料を会社負担
資格取得者への手当支給
社長自らが率先して受験し、合格
目的:社内全体のITリテラシー向上とデジタル化推進
- 東京都
対象者:都職員
支援内容:受験料の補助
経験者採用の際、合格者の採用試験を一部免除
目的:都の情報化を推進できる人材の育成
参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「ITパスポート試験」
社内でITパスポート試験の受験を推進する際に、この事例を参考にしていただければ、効果的な導入と運用が可能となるでしょう。
ITパスポート以降のスキル育成ロードマップ
ITパスポート取得はあくまで「第一歩」です。その後のステップアップとして、以下のような資格やスキル習得を目指すことで、DX人材の育成が加速します。
次に目指したい資格
・基本情報技術者試験:ITパスポートより深い技術・理論を学べる・G検定(ディープラーニング):AI・データ活用人材育成に最適
ノーコード・RPAツールへの展開も視野に
ITパスポートで得た知識をベースに、ノーコード開発ツール(例:Click)やRPA(例:Power Automate)の活用にもつなげやすくなります。
Man to Manでは、実務担当者でも扱えるRPA・ノーコード研修プログラムをご用意しています。
「属人化の解消」「業務効率化」「デジタルスキルの底上げ」にご関心があれば、以下より詳細をご覧ください👇
まとめ:まずは「小さく始めて、大きく育てる」ことが成功の鍵
ITパスポートは「誰でもチャレンジできる」「即実践で活かせる」資格として、社内のDXリテラシー向上に非常に有効です。
企業としては、いきなり全社展開を目指すのではなく、まずは一部の部署や希望者からスモールスタートし、徐々に社内に広げていくアプローチがおすすめです。
経営層の理解と社員の納得感を両立させながら、継続的に学びを支援する仕組みを整えることで、確実にIT人材の育成へとつながります。
社内DX推進は、ぜひMan to Manへご相談ください!
👉お問い合わせはこちら
本コラムでは、DXやデジタルマーケティング、RPAなどに関するお役立ち情報をお届けしています。
またメルマガでもデジタルに関するお役立ち情報を配信しております。よろしければご登録ください!