複合機でスキャンしたPDFや、社内システムからダウンロードした帳票ファイルは、そのままだと分かりにくい名前で保存されます。
そのため、保存先のフォルダへ移した後に、手作業でファイル名を変更している方も多いのではないでしょうか。
この作業は一見単純ですが、毎日何件も発生すると時間がかかります。入力ミスや命名ルールのばらつきが起きると、後から検索しづらくなったり、関係者の確認に時間がかかったりします。
Power Automate Desktopを使えば、指定したフォルダ内のファイルを取得し、決められたルールに従ってファイル名を自動で変更できます。例えば、日付を付ける、不要な文字を消す、連番を振る、といった処理を自動化できます。
本記事では、Power Automate Desktopでファイル名を自動変更する基本的な方法をできるだけ分かりやすく解説します。
「スキャン後のPDFを整理したい」「毎回同じようなリネーム作業を減らしたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
Power Automate Desktopでファイル名の変更を自動化すると、次のようなメリットがあります。
毎日発生する「保存後に名前を変える」という作業は、1件ごとの時間は短くても、積み重なると大きな負担になります。
自動化することで、担当者は確認や判断が必要な業務に時間を使いやすくなります。
担当者ごとに付け方が異なると、ファイル名に揺れが出てしまいます。
自動化によってルールを固定すれば、誰が処理しても同じ形式で保存できるようになります。
日付、取引先名、書類種別などを決まった順番で入れることで、あとからファイルを探しやすくなります。
共有フォルダで複数人が利用する場合も、運用が安定しやすくなります。
手入力では、誤字や数字の打ち間違い、不要なスペースの混入などが起きがちです。
自動処理にすることで、人によるミスを減らしやすくなります。
今回は、Power Automate Desktopを使って、指定フォルダ内のPDFファイルを取得し、決められたルールでファイル名を変更する流れを想定して解説します。
たとえば、以下のような運用ができます。
●Scan_001.pdf → 請求書_20260227_001.pdfdocument.pdf → 契約書_株式会社〇〇_20260227.pdfIMG12345.pdf → 申請書_田中太郎_20260227.pdf
最初はシンプルなルールから始めて、慣れてきたら日付の追加や連番の付与、不要文字の削除などへ広げていくのがおすすめです。
フローを作る前に、次の3点を決めておくと進めやすくなります。
まずは、名前変更したいファイルを一時的に置くフォルダを決めます。
<例>
●C:\Users\ユーザー名\Documents\scanD:\共有\未処理ファイルC:\Temp\ダウンロード
運用上は、「まだ処理していないファイルを置くフォルダ」 を1つ決めておくと分かりやすくなります。
どのような名前に変えるかを、事前に決めておきます。
ルールが曖昧なまま自動化すると、あとで修正が必要になるためです。
<例>
●請求書_日付_連番契約書_取引先名_日付申請書_社員番号_氏名
ポイントは、あとから見て意味が分かることと、並べ替えや検索がしやすいことです。
実務では、すべてがきれいに揃っているとは限りません。
次のようなケースを想定しておくと安心です。
最初は「PDFだけ対象にする」「対象フォルダには処理対象だけを置く」といったルールにすると、運用しやすくなります。
ここからは、実際のフロー作成手順を見ていきます。
Power Automate Desktopを起動し、新しいデスクトップフローを作成します。
フロー名は、あとから見て分かりやすいものにしておくのがおすすめです。
<例>
●ファイル名自動変更
最初に、対象フォルダ内のファイル一覧を取得します。
ここでは、対象フォルダに入っているファイルを読み込み、後続の処理で順番に扱えるようにします。
設定の考え方としては、以下のようなイメージです。
●対象フォルダ:スキャンファイルが入る場所
処理対象を絞りたい場合は、この段階で「PDFだけ」「特定の名前を含むものだけ」などの条件を意識しておくと、後の誤処理を防ぎやすくなります。
次に、取得したファイル一覧を1件ずつ処理する流れを作ります。
1ファイルずつ順番に見ていくことで、それぞれに対して同じ命名ルールを適用できます。
この部分では、繰り返し処理の中で「今処理しているファイルの名前」を取り出し、そのファイルに対して新しい名前を設定していきます。
続いて、新しいファイル名をどのように作るかを決めます。
たとえば、次のような考え方があります。
もっとも使いやすい形の1つです。
<例>請求書_20260227_001.pdf
この形式であれば、何の書類か分かりやすく、日付順にも並べやすくなります。
複合機やシステムから出力されるファイル名に、不要な文字が含まれている場合があります。
<例>Scan_20260227_001.pdf
↓20260227_001.pdf
このように、決まった文字列を削除するだけでも、かなり見やすくなります。
一部の文字列を、業務上分かりやすい表現に置き換える方法です。
<例>IMG_001.pdf
↓契約書_001.pdf
「社内では意味が分かるが、他部署には伝わりにくい名前」を、分かりやすく直したいときに有効です。
新しい名前のルールが決まったら、実際にファイル名を変更します。
ここでは、現在のファイルに対して、作成した新しいファイル名を設定します。
運用上は、いきなり本番フォルダで実行するのではなく、まずはテスト用フォルダで確認することをおすすめします。
特に以下の点は、事前に必ず確認しておきましょう。
ファイル名変更の後に、さらに次の処理をつなげることもできます。
<例>
●処理済みフォルダへ移動するファイル名変更だけでも十分便利ですが、前後の作業もまとめて自動化すると、より実務で使いやすくなります。
ここでは、実際に現場で使いやすい活用例を3つ紹介します。
複合機でスキャンした契約書は、初期状態のままだと意味の分かりにくいファイル名になりがちです。
これを自動で 契約書_取引先名_日付 の形式にそろえることで、検索や保管がしやすくなります。
毎月大量の請求書を扱う場合、日付と連番を付けて保存すると管理しやすくなります。
あとから確認するときも、どの日のどのファイルかが分かりやすくなります。
スキャンファイルやシステム出力ファイルに付く Scan や IMG などの接頭語を削除し、見やすいファイル名へ整えます。
簡単なルールでも、現場では十分に効果があります。
Power Automate Desktopを使えば、スキャン後のPDFや帳票ファイルのファイル名変更を自動化できます。
毎回の手作業を減らせるだけでなく、ファイル名のルールを統一しやすくなり、検索性の向上やミスの削減にもつながります。
特に、以下のような業務には相性が良いです。
●スキャン後にファイル名を変更して保存している業務
最初はシンプルな命名ルールで構いません。
小さく始めて、実務に合わせて改善していくことで、Power Automate Desktopの活用範囲は大きく広がります。
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「この作業も自動化できるかな?」というご相談や、部署全体での内製化に向けた研修も承っています。