企業の成長を支える要素にはさまざまなものがありますが、とくに不可欠なのが人材育成です。人材育成は通常業務を覚えてもらうことを目的としているケースもあれば、キャリアアップやスキルアップのためにおこなうケースもあります。
なかでも、スキルアップを実現するための人材育成方法として「リスキリング」が注目されています。今回の記事では、基本知識として押さえておきたいリスキリングの概要と、企業にとってのリスキリングのメリットや課題もあわせて解説します。
リスキリングとは一般的に、「キャリアアップを目的として新たなスキルを身につけること」を表す言葉です。経済産業省ではリスキリングを「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、 必要なスキルを獲得すること/させること」と定義しています。
すなわち、リスキリングには「社員自らがスキルを獲得すること」だけでなく、「企業が社員に対してスキルを獲得させること」という意味も含まれることになります。
企業が社員に対してスキルを獲得させることに焦点を当てて説明します。
ちなみに、スキルアップやスキルの習得に関連する概念はほかにも存在し、リスキリングと混同されることも少なくありません。そこで、混同されがちな概念とリスキリングの違いについて解説しましょう。
リスキリング:企業が従人材に投資をする教育
リカレント教育:個人が自己投資をする教育
リスキリングが注目されている理由のひとつとして、DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現が求められていることが挙げられます。
DXはデジタル技術によってビジネスモデルや企業文化そのものを変革し、企業が競争上の優位を確立することを目的としており、これを実現するうえでデジタル人材の育成は不可欠です。しかし、経済産業省は「デジタル時代の人材政策に関する検討会」において、デジタル人材の育成が遅れていることを課題のひとつに挙げています。
そこで、社内にいる人材をデジタル人材に育成する手法としてリスキリングが注目されています。
なぜDXの実現が求められているのか、例として物流業界について考えてみましょう。
従来はドライバーの経験や勘に頼って配送ルートを選択するケースがほとんどでした。しかし物流業界でDXが実現すると、荷物の宛先に応じて自動的に最適な配送ルートが選択され、効率的に配送ができるようになります。また、従来は紙で管理していた伝票が電子化されると、瞬時にデータをシステムへ反映できます。このようにDXを実現するための具体的な取り組みにより、業務が効率化されることで他社と比べて優位に立てると期待できるでしょう。
情報システム部門やIT分野の開発部門だけでなく、従来デジタルとは関連が低いとされてきた業種や部門、職種においてもDXは無関係ではありません。DXによりビジネスモデルが大きく変わることは、これまで仕事で身につけてきたスキルだけでは通用しなくなる可能性があります。
たとえば、上記で例に挙げた物流のDXを実現するためには、AIやIoT、ビッグデータなどに関連する開発スキルや運用スキルが新たに求められるようになるかもしれません。AIを活用したシステム開発を専門に担うAIエンジニアや、ビッグデータの解析を担うデータサイエンティストは、DXによって需要が高まっている職種のひとつといえます。
リスキリングは、社員自身が今後生き残っていくために必要であることはもちろん、企業にとってもデジタル人材を育成し、厳しい競争に打ち勝っていくために不可欠な取り組みです。
リスキリングは、今後の社会や職場で必要とされるスキルを身につけることです。
リスキリングを行うことで、自分のキャリアや価値を高めるだけでなく、変化に対応できる柔軟性や創造性も養うことができます。
リスキリングは、一度やれば終わりではなく、常に新しい知識や技術を学び続ける姿勢が大切です。
自分の未来を切り開くための投資ですので、ぜひこの機会にリスキリングに挑戦してみましょう。
「なにからはじめてよいかわからない」という方はリスキリング研修の受講もひとつの手段です。
その他、不明点があれば無料相談も受け付けています