コラム

Power Automate DesktopでOutlookメールの件名に記載されている締め切りを自動リマインド!

作成者: 平野 祥史|Jul 21, 2025 9:38:43 AM
 

 ビジネスの現場では、Outlookで届く依頼メールに、「●月●日までに対応お願いします」といった締め切りが書かれているケースがあります。しかし、その内容を都度、手動で確認してカレンダーに登録するのは手間がかかります。

 今回は、Power Automate Desktop(PAD)を使って、Outlookに届いたメールのタイトルに含まれる「締め切り日時」を読み取り、その1日前(もちろん、2日前、3日前とかでもOK)に自動でリマインドメールを送信するフローの作り方を紹介します。

 

 

Power Automate DesktopでOutlookメールの件名に記載されている締め切りを自動リマインド!

 

以下のような要件を自動化で実現します。

1.Outlookで受信したメールの件名を読み取る
2.件名に含まれる「締め切り日(例:2025/07/31)」を抽出
3.締め切り日の1日前を計算
4.指定日時になったら、自動でリマインドメールを送信


使用ツール
・Power Automate Desktop(PAD)
・Microsoft Outlook


<フロー全体の概要>

以下のような構成でフローを設計します。

1.Outlookの受信トレイから、特定条件に合うメールを取得
2.件名から「締め切り日」の文字列を抽出(正規表現で日付パターン検出)
3.日付を変数に変換し、1日前を算出
4.Power Automate Desktopにスケジュール情報を保存(ExcelやCSVでも可)
5.別のPower Automate Desktopのフローで、現在日時と照合し、リマインド対象を抽出
6.Outlookから自動でリマインドメールを送信

 

 

1.    実行フロー
2.    注意点とポイント
3.    まとめ

 

Power Automate リスキリング研修の概要(アーカイブ)の一部をご覧になりたい方は、こちらのフォームから視聴希望のご連絡をいただきましたら、アーカイブのリンクをメールにてご案内いたします。
ブラウザから特定のテキスト情報を抽出する方法について解説しています。
(視聴時間 約8分)
 

 

 
マクロとRPAとの違い
RPAの活用パターンを掲載 !
 
 

 

実行フロー

 

ステップ①:対象メールの取得
アクション:「Outlookからメール メッセージを取得」
条件:件名に「締切」「対応」などのキーワードを含むメールを対象に

ステップ②:件名から日付を抽出
アクション:「テキスト内の正規表現を使って一致部分を抽出」

パターン例:(\d{4}/\d{1,2}/\d{1,2})

(補足)
正規表現 (\d{4}/\d{1,2}/\d{1,2}) は、日付のような文字列

(例:2025/07/31)を見つけるためのパターンです。

以下にわかりやすく分解して解説します。

 正規表現:(\d{4}/\d{1,2}/\d{1,2})
▶ \d{4}
\d は「数字(0〜9)」を意味します。
{4} は「ちょうど4桁」を意味します。
つまり \d{4} は「4桁の数字」、つまり「年(例:2025)」を表します。

▶ /
文字通り「スラッシュ」です。
そのままの / を含むことを指定しています。

▶ \d{1,2}
数字が「1桁または2桁」であることを意味します。
{1,2} は「1文字か2文字」という意味。

つまり \d{1,2} は、「月」や「日」に使える形式(例:7や07、31など)にマッチします。

▶ 全体として
(\d{4}/\d{1,2}/\d{1,2}) は次のような文字列にマッチします:

対象文字列    説明
2025/7/31    月が1桁、日が2桁
2025/07/31    月・日ともに2桁
2025/12/1    日が1桁

結果:例)2025/07/31 という日付を抽出し、変数へ格納

ステップ③:1日前の日時を計算
アクション:「日時を変更」
内容:抽出した日付から「1日前」の日時を求める

ステップ④:リマインド対象を記録(例:CSVへ)
アクション:「ファイル  CSVファイルへ書き込む」
内容:メールの送信元、件名、リマインド日などを記録

ステップ⑤:スケジュールチェックと送信処理(別のフロー)
アクション:「現在の日付を取得」→ CSVから該当行を抽出
アクション:「Outlookでメールを送信」
内容:リマインド対象者へ「明日が締め切りです」と送信

 

注意点とポイント

 

このフローを作成する際には、以下の点に気をつけましょう。

正規表現での誤認識
 タイトル内に別の数字(例:電話番号など)が混ざる場合、正しい日付だけを抽出するよう工夫が必要です。

メール件名に複数の日時がある場合
 最初の一致だけでなく、複数の一致パターンに対応するロジック設計も検討すべきです。

スケジューラーとの連携
 「毎日決まった時間にリマインド処理を走らせる」ため、Windowsのタスクスケジューラとの連携が必要です。

日付形式の揺れ
 2025/07/31 だけでなく、7月31日や2025-07-31といった形式の違いにも対応した正規表現を用意しましょう。

リマインドメールの送信ミス防止
 一度送信したメールはログとして残す、送信前に確認用の一時ファイルを作成するなど、誤送信を防ぐ工夫も検討すると安心です。

 

 

 

まとめ

 

 Power Automate Desktopを使えば、単なるルーチンワークも自動化でき、メール対応の抜け漏れリスクを減らすことができます。今回は「メールタイトルに含まれる締め切り日を元に、1日前に自動リマインド」する仕組みを紹介しました。

 情報システム部門だけでなく、営業や管理職の方も活用できるアイデアです。ぜひ業務の中で試してみてください。